チャンネルセパレーション [ヘッドホンアンプ]
前回(半年上経っているが当ブログでは普通)チャンネルセパレーションが芳しくないということで終わっていたが、実はあの後、GNDケーブルの共通インピーダンスが原因であることが判明している。ひずみ計による測定のときも、一部にGND共通のミニフォンケーブルを使ったので多少影響があったかもしれない。
オシロスコープで波形を観測すると漏れ信号は位相が反転している。
ヘッドホンアンプの出力ジャック付近にダミー抵抗を付けて測った結果なので、これがほぼアンプの実力だ。65dB近く離れているのでさほど影響は無いと思うが、アンプ内部でもGNDラインは左右共通部分が多くあるし、そもそもオペアンプが1個で電源が左右共通ということもあるので、それらを完全に独立させないと測定値は向上しないだろう。
それよりもヘッドホンのケーブルがGND共通なのが効いている。
手持ちのヘッドホンのうち、BOSE TriportはケーブルのGNDが左右独立しているのでほとんど漏れ音声は聞こえない。カナルタイプのMDR-EX90SLやATH-CKS90はGNDが共通だ。これにGND共通の延長ケーブルをつなぐと、さらに漏れ音声が大きくなることが確認できる。
BOSE Triportはケーブルが細いメガネ型で左右独立している。
しかし、こんなことをメーカーが気づいていないはずが無かろう。むしろ積極的に利用しているかもしれない。
人生で初めて入手したステレオ装置はSONY ICF-5600(スカイセンサー)とSTA-50ステレオヘッドホンアダプターだった。当時の高級なFMラジオ受信機とステレオ信号の復調器だ。ステレオ放送を行っているFMラジオ局はNHK-FMとFM東京しかない時代。お年玉をはたいて同時に買ったヘッドホンから聞こえてきた音の鮮明さに感動したものだ。モノラルラジカセのスピーカーから出る音とは次元が違っていた。
もうどれも手元には無い(ICF-5600は故障が多かった。STA-50の箱だけは部品入れとして残っている)が、確かチャンネルセパレーションは30dB前後だったと記憶している。その程度でも十分感動的だったし、ヘッドホンではセンターの音が後頭部辺りに定位することも新鮮だった。スピーカーによる音の定位は友達の家にあったステレオコンポの音を聴いて知っていたからだ。ヘッドホンはSONYの安物だったがその音はスピーカーよりはるかに細やかで艶っぽかった。
左右それぞれのチャンネルから反対側の信号を少し差し引く(位相を反転して加える)と擬似的なサラウンド効果で音場が広がったように聞こえる。場合によっては-10dBくらいのレベルを加えてちょうど良いこともある。ヘッドホンでは音が後頭部に集中しすぎずかえって良い場合があるかもしれない。
つまり、アンプのチャンネルセパレーションやヘッドホンの共通インピーダンスはある程度許容でき、必要以上にこだわってもあまり得にならないと判断したわけだ。
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