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出力段バッファを検討する(その3)ダイヤモンドバッファの考察 [ヘッドホンアンプ]

ヘッドホンアンプの出力段についてグーグル先生に聞いてみると、ダイヤモンドバッファという回路が人気のようだ。名前は聞いたことがあったが使ったことがなかったので基本回路を引っ張ってきた。
ダイヤモンドバッファ基本
逆極性(NPNとPNP)のトランジスタによるエミッタフォロワを、上下対称に組み合わせてシングルエンドプッシュプル(SEPP)を構成している。シンプルかつ見た目に綺麗な回路だが、どうにも気持ちが悪い。安定した動作点に収束しそうにないからだ。IN端子は電源電圧の中点電位にバイアスされているのが前提になる。Q1とQ3、Q2とQ4のベースエミッタ間電圧の温度係数が同じで、全てに同じ電流を流さないといけないくせに最終段はB級動作にしかならない。アイドリング電流を決めるのはR1とR2になるだろうが、電源電圧が変わったらダメだ。
電源電圧が変わらないことと、INにはオペアンプから電位が与えられるという前提で、最低限の追加を施すとこんな感じか。
ダイヤモンドバッファ設計
無信号時、IN端子に6Vのオフセット電圧が与えられるなら、OUT端子も同じく6Vになるはずだ。例によってエミッタ抵抗R5とR6を5.6Ωに決めるところから開始する。抵抗値に明確な根拠はないが、最大電流を流したときに0.6~1V程度の電位差が発生するようにすると良さげなところに落ち着く。その電圧を出力電流制限に使うこともできる。

最終段に30mAのアイドリング電流を流すとすると、R5の両端電圧は0.168V。するとQ3のエミッタ電位は6.168Vで、ベース電位は6.768V。hFEを100としてベース電流を計算し、その10倍以上の電流を前段に流す・・・という設計手順は前回のダーリントンバッファのときと同じ。
R1の両端電位差は12V-6.768V=5.23V。R1~Q1には余裕をみて6mA流すとすれば、5.23V/6mA=872Ω。切りが悪いので1kΩにすると電流は5.23mAだがこれでもいいだろう。R2はバイアス電圧を発生し、Q3をA級動作させるために必要だ。Q1とQ3のベースエミッタ間電圧はほぼ同じ0.6Vだから、R2の両端電圧とR5の両端電圧が同じになるよう値を決めればいい。0.168V/5.2mA=32.3Ωで、33Ωに決定した。

次回はこれをオペアンプと組み合わせてブレッドボード上に組み立て、実験してみる。

ところで、アイドリング電流を調整するには33Ωまたは1kΩを可変としなければならない。これは非常に面倒だ。無調整でも動くとは思うが設計した電流値からだいぶ離れてしまう可能性がある。できれば一ヶ所の半固定抵抗で調整できるようにしたい。また電源電圧が変わるのなら、R1とR4は定電流回路に置き換える必要がある。それを実現すべく改良してみたが、まだ調整範囲が狭いし初段の動作電流が変わってしまうのも気に入らない。ちなみに動くかどうかはまだ実験していない。
ダイヤモンドバッファ+


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gin_liquor

ダイヤモンドバッファの定数の決め方知らなかった。巷にあふれる回路はよくわからない。
by gin_liquor (2014-04-07 19:47) 

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