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出力段バッファを検討する(その2)ダーリントンバッファの試作 [ヘッドホンアンプ]

AT-HA2改ヘッドホンアンプと同じ単電源アンプにダーリントンバッファを組み合わせた。オペアンプにはヘッドホンアンプで実験したときに素性のよさそうだったNJM2114DDを使ってみた。NFBはバッファの出力から戻し、470μFのケミコンでDC成分を切っている。

ダーリントンバッファつきアンプ

手持ちのパーツで組もうとしたため、前回の設計とはいくつか定数が異なっている。出力段のエミッタ抵抗R11とR12は10Ωを2本並列にして5Ω。R10は120Ωと100Ωの直列で220Ω。R6とR8が10kΩ。R7が39kΩになっている。素子のばらつきも10%くらいあるだろうし、これでも動いてしまうからあまり厳密に設計しても骨折り損になるのがオチ。

Q4とQ5には手持ちの中から、2SD669A/2SB649Aのコンプリメンタリを使用。Q2とQ3には2SC1775A/2SA872Aを使うが、こちらは測定して組み合わせなければならない。テスタを2台使ってブレッドボード上に簡易測定回路を組んだ。テスタは電流測定モードにする。図はNPN用に描いてあるが、PNPの測定時は電源のプラスマイナスとテスタの極性が逆になる。
hFE測定回路
Icが5mAになるようにVRを調整し、そのときのIbを読み取れば、hFE=5mA/Ibで計算できる。もしIcが小さくならない場合はVRとベースの間に数10kΩの抵抗を追加する。20個くらい測定したが、NPNとPNPの差が大きくていまいち合わない。仕方がないので2SA872A同士接着してあるペアをバラして候補を増やすことにする。あれ?接着してあったペア同士でhFEがぜんぜん違う。合ってるのは2ペアだけ。なんだこりゃ?確かお店でペアとして売ってたのを買ったはずなのに、だまされた!これで組んだプリアンプはドリフトがひどくて使い物にならず分解したのを思い出した。
こういうこともあるから、自分で測らないとダメだ。ちなみに2SD669A/2SB649AもIc=60mA条件で測ってみたがピッタリ合っていた。最終的に2SC1775A/2SA872Aのペアが4組。おまけで2SC1775A同士と2SA872A同士のペアもいくつか取れたので差動増幅回路にでも使おう。

ブレッドボードに片チャンネルだけ組んでみた。VR1を左に回し切ってから電源を入れる。すかさずトランジスタに触って温度を確かめ、熱いようならすぐに電源を切って配線を見直す。配線が正しい場合は発振しているかもしれないのでオシロスコープの出番だ。
ダーリントンバッファ仮組み
何事もなければR11の両端電圧が0.15VになるようにVR1を調整する。R12の両端電圧もほぼ同じになるはず。しばらく放っておいてR11の両端電圧が大きく変化しなければOK。
Q4とQ5が発熱するとどんどんコレクタ電流が増えていき最後には壊れる。温度が高くなるとベースエミッタ間電圧が下がってコレクタ電流が増加し、さらに温度が上って・・・という循環に入ってしまう。いわゆる熱暴走というやつだ。アイドリング電流を多くしたり、放熱の悪いケースに入れるなら、Q4とQ5に放熱器をつける必要があるかもしれない。

Q1をQ4にくっつけると、温度上昇とともにQ1のベースエミッタ間電圧も下がってバイアス電圧が小さくなることが期待できる。R11とR12は熱暴走を緩和する働きも持つので、スピーカー駆動のためにこれらを小さくしたときは、Q1とQ4の熱的結合は必須になる。

出力をオシロスコープで観測すると発振波形などは見られない。ヘッドホンをつなげば音も出る。とりあえず50Ω負荷(51Ω抵抗1本)と16Ω負荷(51Ω抵抗3本パラ)でひずみ特性を測ってみた。

THDダーリントンバッファ

音量調節ボリュームがなく、PCのオーディオカードで出力レベルを調整しながらなので少々信頼性に欠けるが、だいたいの傾向は出る。最大出力に近づくと波形はプラス側のほうが先に頭打ちになる。オペアンプの出力がバイアス電圧の半分プラス側にオフセットしているので仕方のないところだ。NJM2114DDだけのときは、50Ω負荷でも0.02%を下回らなかったし、最大出力電圧も低かったので、バッファの効果は十分出ている。
試しにNJM4556AD一発のヘッドホンアンプでも同じ測定をしてみた。

THD4556一発

16Ω負荷では苦しそうだが、それでも0.2%以下で1V出せているので、実用上は全く問題ない。オペアンプ一発でここまで出せれば上出来だ。

次回はダイヤモンドバッファ回路を検討してみよう。


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