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AT-HA2の回路を検討する [ヘッドホンアンプ]

いろいろ周辺回路が付いていて面倒くさいのでパターンを追いかけて回路図を起こした。部品番号も基板上のシルク印刷に合わせてある。

AT-HA2のオリジナル回路図

以下の説明は上側(右チャンネル)の部品番号で行っている。
アンプ周りはデータシートに載っているアプリケーション例と同じだ。外部の帰還抵抗によって、約30倍の電圧ゲインを持つ。しかし10kΩのVR1と20kΩのR1で1/3のアッテネータを構成するから、トータルで見ると10倍(20dB)となる。それでもPCオーディオのライン出力と低インピーダンスヘッドホンの組み合わせにはゲインが高すぎる。

C5によって出力のDCオフセットが-入力から切り離されているのは、よくあるパッシブDCサーボとは違う。このICはもともと入力カップリングコンデンサが省ける単電源アンプなのだ。空いているC6とC7は、発振止めコンデンサを付けるための予備だろう。

C8でDCを切った後にもいろいろとネットワークが付いている。C9とR5はZobelネットワークで、負荷(ヘッドホン)のインダクタンス成分をキャンセルしてアンプの発振を防ぐ。ヘッドホンはスピーカーほどインダクタンス成分は大きくないことが多い(実際、使用しているヘッドホンは2つとも可聴帯域内のインピーダンスはほぼフラットだ)ので、なくても問題ないが、ぎりぎりまでゲインを落として位相余裕が少ないことと、何がつながれるかわからないので保険のために付けてあるのだろう。R14は出力がオープンのときC8に溜まった電荷の放電用だと思う。

R6は4.7Ωで容量性負荷の対策とは考えにくいので、出力が短絡されたときのアンプの保護用かな。
入力のC2は外部からのDC漏れ対策だろうが、解せないのがZD1~ZD4のツェナーダイオード。ZD3+ZD4はR6とともに、C8やU1が短絡故障したときに異常電圧が出ないようにする保護回路かとも思ったが、ZDのツェナー電圧は15Vのようだ。これではヘッドホンの保護にはならないので、外部からの静電気対策かもしれない。それならZD1+ZD2もそうだろう。
民生品はいろいろなケースを想定しておかなくちゃならないので大変だねえ。使用ケースが限定されるアマチュアの特権を生かしてシンプルな回路に置き換えてみようかな。

電源回路は15Vから12Vの定電圧を作っている。ZD9とZD10も他と同じ15Vツェナーなので正常な電源電圧で導通しないように同方向で直列になっている。
R2はC3とのデカップリング回路ではなく、電源ONの瞬間にC3の1000uFに大電流が流れて78M12の過電流保護回路が働かないようにするためのダンパー抵抗だ。突入電流対策もなく、電源ラインに大容量で低ESRのケミコンをたくさんつけるような無茶は止めたほうがいい。
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