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なぜNJM2073? [ヘッドホンアンプ]

AT-HA2の中身は、NJM2073のスペックシートに載っている例をそのまま使ったパワーアンプに、少々過剰とも思える保護回路を追加したものだとわかった。でも、相手がラジカセのスピーカーならまだしも、なぜヘッドホンアンプにゲインが過剰でノイズが大きいパワーアンプICを使ったのだろう?

最初に思いつくのは、負荷のドライブ能力だ。インピーダンスが低いほうが苦しいはずだから、MDR-EX90SL(16Ω、106dB/mW)を例にとって考えてみよう。

MDR-EX90SL.jpg 

最大でどれくらいの音圧レベルが出せればいいだろうか。一般に人間の耳が壊れる限界が130dBと言われているので、とりあえずそれで計算してみよう。
必要な電力は130-106で+24dBm(1mW基準の単位)で、ワットに換算すると251mWとなる。16Ωの負荷に251mW突っ込むには2Vで125mA必要だ。32Ωの場合は2.83Vで88.6mA。感度が低いとさらに多くの電力が必要になる。

出力電圧の面から考えてみると、インピーダンスの高いヘッドホンのほうが苦しくなる。電圧が高くないと充分な電力が送り込めないからだ。70Ωのヘッドホンだと4.2Vで59.9mAとなり、低い電源電圧でしか動作できないアンプでは無理がある。まあ、中には600Ωなんてのもあるが、これだと12.2V必要になり対象外としてもよさそうだ。

これはけっこうキビシイ。例えば、汎用オペアンプの最大出力電流は数mA~数10mAだから、そのままでは無理で、出力バッファが必要になる。
もう少し条件を緩くして、最大音圧レベルを120dB(ジェット機の音くらいだそうだ)とすると、16Ωで25mW(0.63V、39.4mA)になる。これくらいなら出力電流の大きいオペアンプを使えば何とかなるかもしれない。ただしあまり負荷が重いと信号ひずみが心配になる。

それなら出力バッファを内蔵しているパワーアンプICが手軽でよいということになる。JRCのWebページを見ると小電力パワーアンプICはいくつかあるが、2チャンネル、単電源、出力電圧と電流が充分取れ、外付け部品が少なくて済むのがNJM2073の特長。ポータブルオーディオ用やCD-ROMのヘッドホンアンプ用ICでは出力電圧が足りず、幅広いヘッドホンに対応できないだろう。

残留ノイズの問題には目をつぶったのか、あるいはのろまな誰かさんと同じように、ノイズもオーディオの一要素、と思っていたのかは不明。
それでもやっぱりノイズが気になる。・・・せっかくだから魔改造するか?

次回のためのメモ。
オペアンプ一発でヘッドホンアンプを作る場合は、出力電流の大きいオペアンプを使うか、電流を稼げる回路にするか、はじめから最大出力をセーブするか、インピーダンスの高いヘッドホンを使うことを考えたほうがいい。


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